ウクライナ危機と新エネルギー秩序
―― 地政学・気候変動リスクと政府介入の拡大
The New Energy Order: How Government Will Transform Energy Market
2022年7月号掲載論文
ウクライナ戦争が引き起こしているエネルギー危機は、各国の関心を「地政学的エネルギーリスク」に向かわせ、「今後の気候変動対策」と「現状でのエネルギーの必要性」間のバランスをわれわれに否応なく意識させている。仮に世界が戦略的エネルギーブロックの形成へ向かえば、この数十年におけるエネルギー市場のつながりは解体し始め、市場断片化へと向かっていく。注目すべきは、経済的ナショナリズムと脱グローバル化だけでなく、今後のエネルギー秩序が、最近では例のないレベルでのエネルギー部門への政府介入によって定義されるようになると考えられることだ。ロシアのウクライナ侵攻が際立たせたこれらの課題に各国がどう対応するかで、今後数十年における新しいエネルギー秩序が形成されることになるだろう。
- エネルギーの地政学リスク
- オイルショックの教訓
- ウクライナ戦争とエネルギー危機
- 市場の失敗と政府の介入
- 移行期のエネルギー安全保障
- 低炭素経済に向けて
- ヨーロッパの9・11
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